私の一部分。


「ミルキー杉山のあなたも名探偵」シリーズ、というのがある。
https://www.kaiseisha.co.jp/special/milky2013/series.html
偕成社から出ている絵本だ。
小学生の頃大好きで、本屋に行っては続編が出ていないか確認していた。

 

なぜ好きだったのかはわからないのだけど、絵の雰囲気と話の内容と、構成と、その全てが好きだった。
絵の作者と話の作者とが別の方なのだが、それぞれの別の作品は好きになれなかった。
全く読む気が起きなかったし、見たくなかった。

 

でもこのシリーズは大好きで、今まで何度読んだかわからない。
最初の『もしかしたら名探偵』に至っては、擦り切れるくらい読んだ。
絵本だし結末も全て覚えているのにさ、何度も読んだ。
なんなんだろうなあれ。自分でもよくわからない。

 

母が図書館司書をやっているのだけど、人気シリーズだから図書館に寄贈してくれないかと言ってきた。
今までも何度か言われたことがあったのだけど、その度に断ってきた。

 

言葉に出来ないのだけど、自分がちぎられるような感覚があるというか…。

 

だけどここ2年くらい物を減らす努力をしていて、いい加減いいかなと思ったので、今日母に渡してしまった。
数年ぶりにインターネットで確認したら、私が買わなくなってから何冊も新作が出ていた。
私が持っていたのは『あめあがりの名探偵』までなので、10冊くらい読んでいない作品があることになる。

 

大好きな本の新作が沢山出ている。
こんなに幸せなことはない。

 

私はもう数年押入れの奥に入れっぱなしにしてしまっていたので、地元の小学生に読んでももらえる方が本もよっぽど幸せだろう。

 

でもこの感覚はなんだろう。私の一部分がなくなるような。